ちあきなおみ

2008年11月10日

ちあきなおみ/矢切の渡し


ちあきなおみ / 矢切りの渡し

■皮肉といえば皮肉なもので、何が皮肉かはもう面倒だしやめておくとして、いくら頼もうが切望されようが頑なに出てこようとしない人もいる。ふつう何か話題にでもなれば、いやなってなくたって前に出ようってのが芸能人ってもんだと思うが、このひとは、ちあきなおみは出てくる気配もない。当然新曲なんて望むべくもない。ラインナップを変えて編集盤ばかりがつくられる。なんだかね…。ここでブツブツ言ってもどうにもなりはしないんだけど。

■名曲「矢切の渡し」。女の台詞、男の台詞、そして語り。この言葉数でこれだけの奥行き、物語を見せる作家の力も並外れている。が、歌うというか演じるちあきなおみの力は本当に素晴らしい。ワンコーラスの終わりころにはもう、口にわさび入れすぎたときみたいにつーんときてしまう。落語の人情話聞くのに似てる。表情の作り方、そして視線の向け方をよく見てほしい。他の歌手による「矢切の渡し」もいくつか聴いたりしてみたが、全く違うのだ。ちあきなおみだけが違う。他の歌手のは、ただ上手いだけ。ちあきヴァージョンを知らなきゃ“上手いだけ”なんて思わなかったんだろうけど。というかちあきヴァージョンがなかったらこの歌を好きにならなかっただろう。


■コロムビアさん、アナログ、7インチ再発して下さい。A面「酒場川」でしたっけ。リマスターしないでいいので。ああ、シングルボックスでもいいです。どうかよろしく。


このブログ内の関連記事→ちあきなおみ 喝采、蘇る。












sika_50_50 at 21:46|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年03月24日

ちあきなおみ 喝采、蘇る。

■アサヒ芸能はチェックしてなかったなあ。それにしても、よくぞ単行本化してくれたものだ。でなければアサ芸の連載号を集めなければならないところだった。そんなのどう探せばいいんだかわからないって。週刊誌の、しかもアサ芸の古本(?)なんてブック・オフでもそれ以外の古書店でも見たことないし。

■石田伸也著、「ちあきなおみ 喝采、蘇る。」。最愛の夫を失ってから15年。以来沈黙し続けるちあきなおみの軌跡と人物像を、関係者の話や知られざるエピソードをまじえて浮き彫りにしたルポだ。ここまで幅広く多くの人たちから復帰を切望される歌い手など、日本の歌謡界では他にいないんじゃないだろうか。僕は是が非でも復帰をとは思っていなかった。それは復帰されたなら嬉しいに決まっているが、気のすすまないものを無理にというのもどうかと思っていたので。けれどもこの本で多くの人々が活動再開を願っているのを読んだら切なくなってしまった。何かちあきなおみの心の鍵を開けるきっかけが訪れればいいのに。まったく、まさか自分が美川憲一の証言に胸を熱くするとは思わなんだ…。


★以下ちょっとネタばれありなので、買って読むからいい! という方はスルーして下さい。



■ちあきなおみ本人に関することから少しずれたところで印象に残った話がいくつかあった。まず「喝采」のベースには「蘇州夜曲」と「アメイジング・グレイス」があったという話。「蘇州夜曲」! そうなのか。思いもしなかったが、そう知ると何だか感動的だ。いい歌のルーツにいい歌。そうなのかー。それから怪作「夜へ急ぐ人」、のアルバム・ヴァージョンについて、作者である友川かずきが“不満だった”と述べていること。これも、そうなのか!であった。あれは何なのかとずっと疑問だったのだ。妙にメロウになっていて、曲を壊してる気がしてならなかった。ゴダイゴ、がんばったのかもしれないが。もひとつ、中村八大が「黄昏のビギン」のことを自身の代表作と言い続けていた、という話。やはり。そうでしょう(涙) しかもちあきなおみヴァージョンのアレンジを担当した服部隆之は中村八大から、“このアレンジが一番好きだ”と言われていたとのこと。そうでしょうとも(涙)


YOU TUBE --- ちあきなおみ/喝采




YOU TUBE --- 李香蘭/蘇州夜曲




amazon→石田伸也/ちあきなおみ 喝采、蘇る。








※著者の石田様ならびに徳間書店様、ネタばれな件問題あればご面倒ですがコメント欄へお知らせ下さい。



 




sika_50_50 at 23:49|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年02月11日

ちあきなおみ/冬隣 (ふゆどなり)

伝わりますか
■今晩もまた見てしまった「ちあきなおみ特集」(テレビ東京「誰でもピカソ」東京では1月25日放送)。いったい何度目か。「黄昏のビギン」、「喝采」はもちろんだが、今回の放送でとくにうたれたのは「冬隣」。いい歌過ぎる…。歌詞のシチュエーションが「喝采」と似ている、と思ったら同じ吉田旺さん。作曲家は違うのだけれど、歌の出だしの音階に共通点があり、これは偶然ではないんじゃないかと思う。“地球の夜更けは 淋しいよ… そこからわたしが 見えますか♪”ここで涙がこらえきれなくなる。このどうしようもない喪失感。こんな言葉、こんなメロディーをちあきなおみに歌われたら、たまらない。もう泣くしかない。また、ちあきなおみの場合、映像が一緒だとこれもまた歌の世界にグイと引き込まれてしまうのでなおさらだ。

「ねえ あんた」の貴重な映像も流された。ファンのあいだではとても人気のある曲なのだが、正直なところ僕はそれほど好きでない。僕には共感しにくいシチュエーションだからだと思う。がしかし、やっぱり泣かされてしまう。そんなはずないのに、と思いながら。ちあきなおみの魂のこめ方にはただならぬものがある。それから演技力。歌う歌にもよるが、表情でここまで引き込むようなことのできる歌手を他に知らない。


■ちあきなおみについて書かれたものをいくつか読んだりしたけれど、復帰というのはなかなか難しそうに感じる。なのでレコード会社及び放送局等各社様、そろそろ映像集を、DVDの製作をご検討下さいませ。お願いです。

※ 上のジャケット画像は1988年のアルバム「伝わりますか」。「冬隣」収録。


誰でもピカソ「ちあきなおみ特集」曲目

黄昏のビギン 
喝采
冬隣
紅とんぼ
すり切れたレコード 
ねえ あんた
紅い花



YOU TUBE --- ちあきなおみ/冬隣








sika_50_50 at 23:11|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加