小林信彦
2009年07月28日
小林信彦/唐獅子株式会社
■久しぶりに「唐獅子株式会社」を読みなおした。もったいないので、なるべく読まないようにして期間をあけ、ああもう読みたくてたまらん、となったら読むのである。主に通勤電車の中で読んだのだが、その変態的我慢のせいもあろうが、もう、読めば読んだでたまらんのであって、面白すぎ、可笑しすぎるんですわ。何度吹きだしたか。70年代後半に書かれた十話の短編です。パロディ小説です。傑作です。僕(の世代)でもすでに元ネタがよくわからないところがあったりして悔しいのだが、それでも95%ぐらいはネタを探る努力の必要なく楽しむことができる。ありがたや…。新潮文庫のこれには筒井康隆氏による親切な元ネタ解説があるが、もう現在ではそこに列挙された言葉にさらなる解説が必要だろう。こうしてこのすぐれたパロディ小説が楽しまれにくくなっていくのは残念といえば残念だが。若い人でも“もの好き”な方ならイケルのではなかろうか。どうだろう。
■十話のなかで一番好きなのは「唐獅子生活革命」。JJネタが最高。黒田のツッコミがたまんない。
■以上、極めて不親切な推薦文終わり。